私の故郷は高齢化が進んだ、山間のいわゆる過疎地。
祖父母の世代にはまだ、夜這いの風習も残っていたそうですが、若い人がほとんどいなくなった今、その風習は全くなくなりました。
今でも残っているのは、野良出会いだけだそうです。
山奥のことですから、まとまった耕地はほとんどなく、特に畑は、あっちに何畝、こっちに何畝と点在しており、季節によってはその畑をあちこち、何度も手入れのため行き来しなければなりません。
その途中、出会った男女が、楽しむために人目を忍んで、肌を合わせるのが野良出会いです。
もっとも忍ばなければならないほどの人目もなく、また年に何度かは互いに竿刺し、孔を掘られる間柄ですから、自分の夫や女房でなければ、見られることも平気で、三人以上が出会ったときは仲良く順番待ちで、ということすらあります。
笹掛け、という小屋があります。
根笹の束をいっぱい作り、小さな囲いを作ります。
もちろん屋根も笹で葺きます。
そのため、入口の戸を閉めると、中は相当暗くなり、野良出会いをゆっくり楽しめます。
何組かの夫婦が共同作業、結い、をしたときに作り、その夫婦間でスワッピングにつかった跡です。
その笹掛けから、男が出てくるのに出会ったことがあります。
男が戸を開け出てくると、すぐにその場を離れていきました。
小屋の裏で待っていた別の男が、中に入り、戸を立てかけました。
裏で待つことで、出て行った男と、待っていた男が顔を合わせることはないようです。
そっと小屋の裏に回ってみました。
そこには誰もいません。
結果的に、覗き聞きの格好になりました。
激しく腰をぶつける音を出しながら、「疲れているようだな、ずいぶんやったのか?」と男が喘ぎながら聞いています。
「あんたで、三人目」かすれた声で女が答えています。
一際動きが激しくなり、二人は同時に果てたようです。
「じゃ、ゆっくり休みな」と言って男が戸をあけ、出ていきました。
中の様子を覗いてみたく、入り口から覗いたら、女の人がのろのろと、服を着ようとしていました。
でも入り口に人影ができたのに気づき、4人目の男がきたのだろうと思ったのか、服を着ることなく、仰向けになり、私が入ってくるのを待っているようです。
思わず飛び込みました。
ルール通り、中から戸を立て、使用中の合図とします。
明るい外から、暗い小屋の中に入ったので、白い脚がぼんやり見えるだけ。
パンツをズボンごと脱ぎ捨て、股の間に飛び込みました。
三人分の精液で、もうそこは滑りっぱなし。
何の抵抗もなく孔の中に納まります。
女はもう疲れているのか、喘ぎ声のような激しい呼吸をするものの、腰を使うということはしません。
でも締まりが意外といいので、私が腰を動かすだけでも、放精することができました。
出すものを出せば落ち着きます。
とりあえずキスをして、感謝の気持ちを伝え、ズボンを穿こうと起き上がったとき、驚きました。
私の下でぐったりし、目を開ける元気もなく疲れ果てていたのは、なんと私の母親でした。
急いでズボンを穿き、そっと、顔を見られないようにしながら小屋を出ます。
戸は、中から立てかけるだけの戸ですから、外からは閉めることはできません。
一時間ほど、山の中を歩き回り、再び笹掛け小屋に戻ってみました。
母の姿はもちろんありませんでした。
家へ帰ると、母が夕飯の支度をしていました。
私の顔を見ると、お帰り、ご飯だから父さんを呼んできて、納屋に居るはず、といつも通りに声をかけてきました。
納屋へ行き、父を呼んで三人で食事。
今年の夏休みで帰省中の出来事でした。
母は最期の相手が私だったとは、まったく気づいていなかったと思います。
私も、何も母には言いませんでした。
遠く離れた母を思い出しつつ、もう一度、抱きたいと思っています。