後、結論が出ました。はい、昨日確かにエッチしました。
じゃ誰と?1こ上の先輩の由香さんと。その人は今いずこに?・・・さぁ?情けなく下半身にだけ布団をかけ、体を起こし考え込んでいた。
がちゃ!ドアを開けると音がした。「!」「おぉ~い、いつまで寝てんだぁ~?」げっ!朝から裕美だよ。
普通こういうシチュエーションだと、由香さんが頬に軽くキスして起こすでしょ、普通は。現実はそんなに甘くないってことだよね。
「おわっ!」上半身(下半身もだけど)裸な俺はあわてて、布団をひっぱりあげ体を隠した。「はいっ~?君は女の子のようだなぁ~なに隠してんのっ!?」そう言いながら、裕美はづかづかと自分の部屋でもないのに遠慮なく入ってきた。
「はいよぁ~」そういいながら裕美はYシャツを俺に放り投げた。ボタンがちゃんとついてる。
「一個ボタンが見つからなかったから、一番下つけてないよん」いや、一番下のボタンは前からないんすよ。「いや~それにしても君は激しいなぁ~」あごに手をあて、したり顔でうなずく裕美。
やべっ!昨日のこともしかして聞かれてたのっ!?そう言えば裕美ってどこにいたの?昨日は裕美の存在なんてまるっきり気にしてなかったから。「・・・(照れ)」猛烈に恥ずかしくなったよ。
自分がエッチしてる姿を他人にみられることなんで普通ないじゃん?しかも、なんか意味ありげにうなずいてるし。「・・・先輩は、昨日どこに寝てたんですか?」答えを聞くのが恐ろしかったが勇気を振り絞って聞いた。
「昨日?そこのベッドで寝てたよ」っ!!!!!!!!!!!!!!!!!ヤバイ!ヤバイ!超ヤバイ!あと8億回繰り返してもいい足りないぐらいヤバイと思った。「んほっ」むせた。
「えっ!?そこにいたんすかっ!?それホントっすか!?冗談じゃなくっすか!?」「あぁ~いたよ。おかげであたしゃ寝不足だよ。ふぁ~あ」わざとらしくあくびをする裕美。
ずぅ~~~ん。マリアナ海溝よりも更に深く落ち込む俺。
この時すでに半泣き(9割5分)状態。その状態を見た裕美がさらっと一言。
「んなっわけないだろ」「へぁっ?」すっとんきょーな返事をする俺。「あたしにはそんな(他人のエッチを観察する)趣味ないし。違う部屋で寝たよ」「・・・・・」俺放心状態。
「着替えて下においで」そういい残し裕美は部屋を出て行った。扉が閉まる音で我に返った俺は慌てて服を着た。
おいおい、ベルトバックルが外れてないじゃん。ホックひん曲がってるじゃん。
ホックを強引に指で押しつぶし着替えをして1階へと。1階についたはいいが、どこに行っていいのか分からない。
そう思っていると、耳障りな裕美の声が聞こえてきた。その声のする方に行くとそこはダイニングだった。
このダイニングもまたばか広い。20畳ぐらいはあるんじゃないか?そのバカ広いダイニングにこれまたバカでかいテーブルが。
俺が部屋に入っていくと由香さんの姿も。「おはよ。ってゆーかもうこんにちわかな?」少し笑いながらあいさつをする由香さん。
あぁ~由香さ~ん、もう朝(昼だけど)から俺は幸せいっぱいだよ~。「ヒロ君、なにか飲む?紅茶でよければすぐ出来るけど?」由香さんが聞いてきた。
「あっ、なんでもいっす」軽くうなずきならが返事をする俺。「じゃ、ちょっと座って待ってて」あ、はぁ~って思ったがどこに座ればいいの?テーブルには椅子が6脚ある。
由香さんと裕美は対面になるように座っている。普通、こういった場合俺は由香さんの隣だよな?でもそれじゃ図々しく、調子に乗ってるって思われるよな?じゃ裕美の隣か?そりゃいくらなんでもおかしいだろ?じゃ床に座るか?ってそれじゃ丁稚だよっ!くだらんことで悩んでいる俺を見て、助け舟を出すように、裕美があごで由香さんの座っている横を指した。
初めて裕美が天使に見えた。あんた最高!今だけ!テーブルの由香さんがに移動しいざ座ろうと思ったが、椅子は片側3脚ある。
由香さんは一番奥に座っていた。俺、真ん中でいいんか?と思ったが一番手前に座った。
それを見た裕美が言った。「どうして君は離れたとこに座るかなぁ~。隣に座ってあげなよ」「あっ、はい・・・」ちょっと照れくさかったが素直に裕美の言葉に従った。
ナイスフォロー裕美!グッジョブ!(って当時そんな言い方なかったけど)。俺が席に着くと同時に、由香さんが紅茶を持ってきて俺の隣に座った。
ふわっと昨日と同じリンスの匂いがした。やっぱ昨日のことは夢じゃなかったんだと確信できたひと時だった。
「はい、どうぞ。お砂糖は?」「いえ、いらないっす」いつもは2,3杯砂糖を入れる俺はかっこつけて言った。
一口飲んでの感想。やっぱ砂糖入れればよかった・・・不気味な静けさが辺りを包む。
誰も何も話さない。由香さんは頬杖をういて、顔を少し横に向けティーカップをいじっている。
そういった姿の由香さん絵になるなぁ~。ぼーっと見とれている俺。
かたや裕美はと言うと、椅子の背もたれに片腕を回し、あごに手をやり足を組んでふんぞり返って(ちょと大げさかも)座り、由香さんをじっと見ている。まるでこの家の主みたい。
違う意味でこれも絵になっている。どれぐらい時間が経っただろう?突然裕美が言った。
「ねぇ?由香?・・・いいの?」うんっ?いいのって何が?主語もなにもなく裕美の言ってる意味が一人分からない俺。「うん」自分の返事を噛みしめるように、軽く二度三度うなずきならが、ちょっと口に笑みを携え由香さんが答えた。
ちょっと沈黙の後、裕美がつぶやいた。「・・・そっか・・・」あのぉ~お二人の会話、俺、まったくみえてないんですけど?そう思ったのもつかの間、その場の雰囲気をかき消すかのように裕美が元気よく立ち上がりながら言った。
「そっか。分かった」いや、俺分かってないんですけど・・・「ヒロ君ごめんね、私たちちょ~っとこれから用事があるんだ。それで悪いんだけど」みなまで言うな裕美。
そこまで言われれば分かります。裕美の言葉を途中でぶった切るように俺は「あっ、はい。分かりました」と急いで返事をした。
「ごめんね」自分の顔の前で手を合わせ、謝るような仕草をする裕美。帰り支度(と言っても制服の上着を着てバックを持つぐらいだけど)をして玄関へと。
その場でさよならかと思ったけど、二人とも外まで見送りに出てきてくれた(正直いって裕美が邪魔だと思った)。なんて言っていいのか分からなかったが、そこは進行役の裕美の出番。
「一人で帰れるか?まっ気をつけて帰りたまえ」「あっ、どうもお邪魔しました」そう言い、少し頭を下げ由香さんの方を見た。素敵な笑顔で応えてくれましたよ。
俺超ハッピーって感じだった。「じゃ」といってその場から立ち去る俺。
帰り道、俺なんで連絡先聞かなかったんだろう?って思った。でも同じ学校だし会おうと思えばいつでも会えるでしょって簡単に考えてた。
なんか家についてもふわふわした気分で、のぼせてるみたいだった。昨日の出来事って本当は夢なんじゃないかと思えた。
でも、お風呂に入ったとき、由香さんが肩につけた爪あとがちくりとしたからやっぱ現実なんだって思った。俺、この体験を友達に超話したかったし、自慢したかった。
でも止めておいたよ。こんな話しをして、友達が好奇の目で由香さんを見ることに耐えられなかったし、せっかくの想い出が汚されると思ったから。
学校へ行ってもしばらく、授業の内容が身に入らなかった。まっそれは以前からだからあまり変わらないんだけどな。
もう由香さんのことしか考えられなかった。もう俺の中由香さんで一杯。
日を追うごとに思いが募る。由香さんを訪ねて2年の教室に行くか?いや、でもちょっと恥ずかしいし、やっぱ上級生のフロアに行くのは緊張する。
友達と一緒なら行けるか?とも思ったけど、そうするなら事情を話さなくては友達も納得しないだろ。由香さんとのことを話すわけにはいかないし。
由香さんに会いたい、やっぱ会いに教室まで行くか?いや、でも・・・見事な腰抜けっぷりを存分に発揮する俺。ジレンマに陥り時間だけがいたずらに過ぎていく。
近いうちに会えるだろう。そう自分に言い聞かせるように無理やり納得させその時を待った。
裕美の姿は1、2度見た。裕美なんてどうでもいいんだよ。
由香さんだよ由香さん。しかし由香さんの姿を見かけることはなかった。
ってゆーかおかしくないかっ?同じ学校だぞ?いくらなんでも姿さえ見かけないってことあるか?もう我慢でっきーん!俺は意を決した!ようし放課後待ち伏せ作戦だ!(意を決したわりには屁たれな作戦でごめん)。2年生が利用する階段でうんこ座りをしながら待つ俺。
何度も、「んだっ、こいつぁ~?おらぁ~!」って感じの先輩の厳しい視線に晒されること数十分。本命ではないが、裕美発見。
裕美も俺に気づいたようだ。はっとするような表情をする裕美。
この時その裕美の表情が気になった。なんかいやな予感がした。
妙な胸騒ぎがした。軽く会釈をする俺の脇を逃げるように、足早に去ろうとする裕美。
えっ!?ちょっと、なんか意外な反応なんすけど。慌てて俺は声をかけた。
「いや、ちょっと、先輩っ!!」ちょうど通りかかった2,3人の先輩が振り向いた。おめぇ~らじゃねぇ~よ。
心の中で突っ込みつつ、裕美の後を追った。「ちょっと、先輩待ってくださいよ」「あぁ・・・君か」今始めて気づいたって感じでちょっと動揺しながら裕美が言った。
「いや、君かじゃなくって、今、視線合ったじゃないっすか」「あっ、ごめん、気づかなかったよ」んなわけねぇ~だろ。ばっちり視線合ってたじゃん!?そう突っ込みたかったが、そんな押し問答してる場合じゃないと、冷静になる俺。
「で、なにっ?」ちょっときつめの口調で裕美が聞いてきた。「?」今日はやけにきついな。
そう思いながら尋ねた。「あっいや、由香さん、何組かを聞こうかと思って」「・・・」?意外な反応なんすけど。
すぐに教えてくれるかと思ってたから。じっと俺のことをを厳しい目つきで見つめる裕美。
えっ!?なに?ホントなに?この反応は?聞こえなかったのか?もう一度聞くか。「由香さ・・・」俺の言葉を遮るように裕美が答えた。
「由香、いないよ」「はっ!?いないって?今日休みってこと?」「いや、違う。もうこの学校にはいないってこと」はっ!?もうこの学校にはいないってどういうこと?意味がわからん。
「・・・えっ!?・・・えっ!?はっ!?」この学校にはいない?もういない?もう???なんか裕美の言った言葉が理解できずに軽い錯乱状態。微動だにしない俺に向かって裕美が言ってきた。
「由香、家の事情で学校辞めたの」はぁっ!?学校辞めた?えっ?誰がっ!?俺、この時言葉も出なかった。「だから、もうこの学校にはいないの。分かった?」そう言い、その場を立ち去ろうとする裕美。
おいっ!お前ちょっと待てよっ!そんな話しで納得できるか!俺、ぶち切れた!「ちょっと待てよっ!」腹の底から絞り出すような大声でどなり、裕美の腕を力いっぱい掴んで強引にこっちに引き寄せた。少しおびえたような表情をする裕美。
「はぁっ!?ちょっと待てよ!お前、なに言ってんだっ!?」もう先輩も後輩もない。切れてる俺に上下関係はない。
その声を聞きつけた、周りの2年生の男共が「んだっこのヤロー」って感じで威嚇しながら近寄ってきた。ヤバイかなって思ったけど、そんなこと気にしてる余裕なんてその時の俺にはなかった。
「君、ちょっと落ち着きな。なんでもないから、大丈夫だから」後半の台詞はいかついお兄様方へ向かって投げかけた裕美の言葉。
収まりがつかないご様子のお兄様を見て、まずいと思ったのか裕美が俺の手を引き屋上へと移動した。屋上で裕美が話しを始めた。
由香さんは、父親の仕事の都合で海外(イギリス)に留学することが決まっていたこと。本当は、9月に行かなくてはいけなかったんだけど、どうしても心残り(俺のこと)があるのでひとり日本に残っていたこと。
自分のわがままで親に迷惑をかけるわけにはいかないので、自分で出来る限りのことをしようとバイトをしていたこと。そう言われていればそうだよな。
あんな豪邸に暮らしていてバイトするのってへんだよな。その話しを聞いて初めて納得した。
なんかその話しを聞いて悲しくなってきたというか、健気な由香さんを思って可哀想で泣けてきた。もう超号泣って感じ。
これが号泣じゃなかったらなにが号泣なんだって感じで泣いた。いくら泣いても泣き足りない。
この悲しみや由香さんを思う愛おしさをどこにぶつけていいのか分からなかった。俺は腕をぶんぶん振り回し、泣きながら裕美に言った。
「何であの時言ってくれなかったんだよっ!?先輩、知ってたんでしょ?何でだよっ!?」もう涙なんてぬぐってる場合じゃない。涙や鼻水、もう色んな物が出てたと思う。
でもそんなのなんてお構いなしって感じだった。「もうっ!先輩ずっけぇ~よっ!何でだよっ!何でだよっ!何でなにも言ってくれなかったんだよっ!」あ~ん、あ~んって子供みたいに泣きじゃくったよ。
もう後半自分でなに言ってるか分からんかったよ。そんな中突然裕美が大声で言ってきた。
「じゃどうればよかったのっ!?えっ!?じゃあの時、由香はもう近々学校辞めて海外に行くんだよって言えばよかったわけっ!?それ聞いてうするのっ!?どうすることも出来なかったでしょ!